其ノ三 終章は ちょっと長くなってしまいました お付き合い下されば有難や...
さて 「町かどの藝能」 会場は
劇団おさだ塾の本拠である「般若林」
相国寺さん系列のお寺なのでしょうか まちなかにありながら すっぽり森に囲まれた別世界
入り口に「
此処より先は江戸時代」とありまして でも その看板を見ずとも 門をくぐれば 本当にタイムトリップしたような感覚におそわれて
演劇の装置としては まことシンプル 大した仕掛けは何もない(ごめんなさい) にもかかわらず
観客はみな 江戸のまちに魅了されました
写真左の建物が 稽古場だそうです
この建物を見るだけで 劇団の思いや 大切にしていることが 伝わってくる
この野外劇を成立させているのはまさに「
役者・芸人魂」 大層な舞台装置や設備は要らないのだと
名物「
粟もちの曲つき」 つきたてのお餅を 踊りながら まるめて「ほいっ」 受けてころころ きなこをまぶす
初めてで わからなかったのですが 数に限りがあって 演技のまえに配られる木札をゲットしなければ お餅がもらえないのです
あわてて手を挙げたら 「お子さんがいるから」と最後の1枚をくれました
「ぼく 粟餅知ってるか?」 客同士も さりげなく 会話がはじまります
そしてこれも途中で気づいたのですが マイクやスピーカーが1つもない 最近はアコースティックコンサートでも 音響設備を使うのに
それでも 口上 せりふ 商いうたの一節一節まで しっかり届く スピーカーをとおさない人の声や 楽器の音色の美しさは そのまま森にとけていくようです
舞台の切り替えなどで 静寂になるとき 「ぎぎ...ぎし...」という 小さな音が 聞こえました
幟(のぼり)の柄の竹が 風に吹かれて かすかにしなる音でした
さわさわ ぎぎ ぎしぎし...
目を閉じて聞くと まるで 川くだる船のうえにいるようなここちよいBGM
こうして朝の11時に来て 気づけば夕方4時半過ぎ! すっかりタイムトリップしていた私たち
帰るときは
「浦島太郎」の気持ちがちょっと分かったような...なんてオーバーかしら はは
「わたしらは
『演劇は心のお風呂』と思うとります」と 役者さんから「師匠」と呼ばれるご婦人が言われました(帰り際につかまえて話を聞いた)
なるほど まことに「浮世風呂」 さっぱりぽかぽか気持ちよく 来年も絶対来ようと思いました
「時代祭」もよいけれど 年に1度の「浮世風呂」 よければご一緒しませんか もちろん脱衣無用です...
え、それじゃおもしろくない? いやいや
心は「脱衣」で 「よろしゅう おたのもうします~」