署名のお願いに、会いに行く。
お一人のかたに書いていただくのに
どれくらいの時間がかかるか。
署名のお願いを聞いてもらうのに
その方にも時間をもらっている。
このご時世、名前を書くってとても重いことだ
記入欄の、たった1行かもしれないけれど、
その一行一行に、どれくらいの思い、
歩いた距離、話した時間、考えた時間、
交わされたやりとりが詰まっているか
受け取るひとは、想像したことがあるだろうか。
何人以下だと少なくて、
何人以上だと多いと思われるのだろうか。
昨日、実家の母から集めてもらった署名用紙が届いた。
こどものころからよく知っているおじさん、
おばさんの名前がそこにあった。
「ほとんどお父さんが歩いてくれました」
と母の添え書き。
わたし最近あまり泣かずにいたけれど
この母の一行を何度も読んで泣いた。
たった一行。たった一行で、ひとは
ひとのこころを揺るがすことができる。
署名用紙には、一行、二行、三行、
一枚、二枚、三枚、もっともっとあるのだから
大丈夫。大丈夫。
長雨でしめった地のかぜひやり
とおくで猫がなく
夏にはもう少し もう少し
待っててほしいと思う朝です
紫陽花って署名みたい なんて