木造校舎の2階 教室の窓辺に
鎮座まします「彼」こそは
「避難所の癒し人」
ぷぷっと吹き出すエピソード
3月9日
気仙沼市立月立中学校旧校舎へ
こちらでは 被災した個人宅の
写真や手紙 大漁旗 ご位牌等を
救済する作業が行われています
お話して下さったのは気仙沼復興協会の方
気仙沼市の震災緊急雇用対策の一環で
被災された方やシニアの方を中心に雇用され
作業に当たっておられるとのこと
泥をかぶった紙を
出来るだけ見られるようにするために
何度も何度も刷毛をかける
慎重にはがさないと 破れてしまう
粉塵もたつので ゆっくりと
時間と根気の要る作業です
修復された品は同中学校で展示され
その場で持ち主にお渡しされるそう
この作業を国立歴史民俗博物館が支援
クリーニング後 被災文化財として
電子データに保存されてゆきます
さて、その博物館から派遣された研究員の方が
入力作業をされている教室の隅っこに
モアイ像のようなものが
こちらをじっと見つめてはりまして
「あのー、これは何ですか」
「ああ、これ、ポットです」
「えっ、ポット?ですか??」
「ええ。娘が懸賞に応募したら当たりましてね。
でも届いた物を見て恥ずかしくて使えないって、
せっかく当たったのにそのままにしていたんです。
震災があって、避難所にポットが要るからって
これしかなくて持っていったら、もう大笑いで。
こどももお年寄りもみんなお湯を汲むたびに笑うんです。
あちこち避難所を廻りましたが、どこでも笑いがおきて
このポットのおかげで癒されたって。
こんなに喜ばれるなんてね。持っててよかったです」
なるほどなるほど分かります
ポットとしてもようやく日の目を
みたというわけですね
「あの..ちょっと汲んでもいいですか?」
「どうぞどうぞ」
あたま(帽子?)を押しますと
鼻からお湯がじょろじょろと
「ぷぷぷ、おっかしい〜〜」
「ほんと、おもしろいですよねえ
ここでも人気ものです」
写真を撮ってツイッターに投稿したら大反響
たくさんの方がリツイート(繰り返しつぶやき)下さいまして
おかげで これが「日清焼きそばUFO」の何年かまえの懸賞品で
モデルはトータス松本さんであること
ときどきネットオークションでも出ていること
などが分かりました ありがとうございます
雪ふる3月の東北
静かな木造校舎での
ほっとひと息つくはなしによせて
「ドリトル先生月へゆく」より:
"ところが、このときにあたって、ドリトル先生はその本来の面目
をりっぱに示しました。すでに先生がこの旅のはじめから、いろん
な不安になやまされていたことは、私も先生にきくまでもなく知っ
ていました。しかし、いま、いよいよ旅が苦しくなって、飢えが私
たちの腹をえぐり、おそろしいのどのかわきのため舌がひからびて、
力も元気も尽きはて、ただ歩くことすら容易でなくなったときに
あたって、先生はしだいしだいにほがらかになってくるのでした。
しかし、じょうだん口などをきいて、ほかの者をいらいらさせるよ
うなことではありません。何か、ふしぎなやりかたで、みんなの元
気をささえてくれるのでした。先生はじつにうまい機会をつかまえ
ておかしな話をきかせるので、みんな思わず吹き出して、苦労も消
し飛んでしまうのです。..." (ロフティング作/井伏鱒二訳)
【Information】社団法人気仙沼復興協会(KRA)気仙沼市長磯船原5番地2
旧ファミリーパークみうら駐車場内プレハブ
TEL.0226-27-3882 FAX.0226-27-3871
[写真救済部]
宮城県気仙沼市塚沢72 旧月立中学校
Tel: 080-1662-2597
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