1月12日夕方
しんらん交流館ロビーにて開催中の
「いのちのあかし絵画展」 へ
熊本にある国立ハンセン病療養所菊池恵楓園絵画クラブ「金陽会」の方々の作品展です。
長い時間、会場に居ました。
ハンセン病の方が社会から受け続けた理不尽な処遇に、噛み締めた悔しさ、無念はいかばかりか。
なのに、作品と対峙して、こみ上げてくるこの「愛おしさ」のような感情を、なんと表したらいいのだろう
美しい海の絵や、家族の顔、こどもの頃の思い出の風景。。。
これらはその場所や時間にもう二度と帰れぬ思いのたけのものであって、決して「きれいやねえ」「のどかやなあ」などと、気楽に見られるものではない。決してない。
その方の無念に対する、慰めになるような言葉、誤解や差別を少しでも晴らすためにどうしたらいいかを、こころの中で探しながら、もう一方で、
あなたの絵を見させてもらいましたよ!
素敵な絵ですね!
まるで声が聞こえるようでしたよ!
と、絵を見た感想を、大きな声で叫びたい衝動にかられる。その方に届くならば。。
何かもっと書くべきことがあろうところ、、、まずは今を生きる1人として、絵の前に立ち、おひとりおひとりと会話したいような、、
実際、わたしのたくましい想像力と"コミュ力"をもってしたら、そんなことは造作無い事でして笑、果てず、すっかり長居をしてしまいました。
帰宅し、美術館・アート情報サイト「artscape」の、熊本現代美術館学芸員の坂本顕子さんによるレビューを見つけて、うんうんうなずきながら読みました。
artscape 学芸員レポート 人権週間ギャラリー展「いのちのあかし」絵画展"美術史の末端に関わる人間の態度としては失格なのかもしれないが、作品を見てその背景を知れば知るほど、もう自分はハンセン病元患者の方々の作品を、アウトサイダー・アートとは呼べないのだ。すべてを、何かの美術の流派や型にはめてしまうのではなく、“私”から始まる、自分なりの絵との付き合い方があってもいいのではないか。電話を受けて、改めてそんな気持ちになった。"
展覧会のチラシを送って下さった監修者の藏座江美さんに取り急ぎメールでお礼をお送りしたところ、返信下さって、なんと、現在、絵画クラブの中でお一人だけ描き続けておられるという吉山安彦さんが、最終日に来廊されるとのこと!!
吉山さんの絵の1つ「捨てられた風景(II)」は、今回の展示の一翼をなすような、心象として迫る1枚で、
「
ご高齢なのでムリだと思っていたのですが、たくさんの感想や新聞記事を届けたら、来たいと思われたようです」と、藏座さん。
このくだりを読んで思ったんです。
展覧会を開くことで、芸術文化を語るうえで、こういうこと以上に、大切なことがあろうかと。
届くのだ。ならば、なりふり構わず、叫びましょう。
たった一人が、たった一人のために。
「あなたが生きてくれていて、わたしはうれしい!」と。
人権週間ギャラリー展「いのちのあかし絵画展」
"本年の人権週間ギャラリー展では、熊本県にある国立ハンセン病療養所菊池恵楓園絵画クラブ「金陽会」の方々の作品を、「いのちのあかし」絵画展として展示します。これらの作品は、60年以上もの長い間をかけて描きためられた、一人ひとりが「人」として生き抜いてこられた「いのちのあかし」です。絵画の専門的な指導者を持たず、独学の精神において、人生の喜び、悲しみ、情熱、憧れ、郷愁、それぞれの想いが思いのままに描かれています。"
2016年12月7日(水曜)から2017年1月29日(日曜)
※2016年12月29日~2017年1月5日は休館日
しんらん交流館 1階交流ギャラリー
(京都市営地下鉄五条駅から徒歩4分・
地図PDF)
平日:9:00から19:00、土日祝:9:00から17:00 入場無料
1.菊池恵楓園絵画クラブ「金陽会」の作品
2.小笠原登師パネル
3.ハンセン病についての解説パネル
監修:藏座江美さん(一般社団法人ヒューマンライツふくおか 理事)