株式会社ワコールといえば
説明不要の有名ランジェリメーカー
とりわけ京都に本社があることと
女性が力を出せる企業ということで
わたしの出身短大でも就職先として人気
学校推薦枠は学業優秀者で競われる
わたし?まったく論外でした、はい
そんなかつての憧れを思い出しながら
6月5日 ワコール本社ビルへ
「乳房文化研究会」主催
(乳房=「にゅうぼう」と読みます)
サブカルチャーと乳房
マンガ・アニメの美少女のボディイメージ
を聴講させてもらいに参りました
今回の研究会趣旨:
「日本が世界のトップを走るマンガ・アニメの文化。
その中で少女を中心に、女性の身体表現の中でも
乳房は大きな存在感を占めています。
今回は文化を語る人、マンガ・アニメを立体 (フィギュア)に
表現する人のそれぞれからマンガ・アニメの中の女性の
身体表現について語っていただき、
・アニメ・マンガのからだのかたちはどんな意味をもっているのか?
・男性目線・女性目線で見方に違いはあるのか?
などみんなで考えてみたいと思います」
ということで 3名の講師方よりお話を伺いました:
1.表智之先生(京都国際マンガミュージアム研究員)
「男性向けマンガにおける美少女の身体」
2.川原和子先生(マンガエッセイスト)
「女子目線でみたマンガ・アニメの身体デザイン」
3.ボーメ先生(海洋堂造形師 代表)
「男性向けマンガにおける美少女の身体」
お三方とも大変面白く あっという間の3時間
内容を全てお伝えしたいほどですが 以下
いくつか印象的だったことを さささと記します
(ご希望あれば別途語りますよん ← ホント)
●ボーメさん
フィギア界のトップランナーとして
フランス・カルティエ財団に招聘され
「キングオブオタク」とも呼ばれるとか
会場にはボーメさん目当てらしき方が多く見受けられ
「こんなに男性が多い例会は初めて」と
スタッフの方が話しておられたのを漏れ聞きました
ボーメ氏語録
・「2次元キャラクターを3次元にするフィギアという分野は
作者の創意がかなり介在する、そしてそれが許容される。
つまり同じキャラクターでもいろいろあってよいという。
これは厳密な造形の世界ではきわめて異例なこと」
・「よく『代表作は何』と聞かれるが 『ない』というのが本当の気持ち。
いまだ満足のいくものは出来ていない。理想を目指して作るけれど
完成を見た瞬間『まだまだや』と思う。だから作り続けている」
フィギアについては ごめんなさい
わたしの許容の範疇ではないものの
関西弁でとつとつと語るボーメさんの言葉に
作家としての孤高と重みを感じました
「オタクは消費が早いのでついていくのが大変」と
キングオブオタクがおっしゃっるので 一同大笑い
もっかオタクごころの維持に努めておられるそうですが
こだわらず新境地を拓かれたらすごいのではと思いました
●表智之さん
京都国際マンガミュージアム研究員の方
時代背景を織り込みながら 男性向けマンガ史や表現技法などを
アカデミックに分かりやすく解説して下さいました
例えば少年マンガにおいて女性キャラクターの胸が大きく描かれるワケ:
・良くも悪くもマンガというメディアの規則性
「分かりやすさ」の表現であり ステレオタイプとして生産されてきた
(それで良しとはしたくないけれど なるほど)
・少年マンガ読者の高年齢化に合わせて変容
「少年サンデー」創刊号の表紙はミスター(!)だったのに
(少年サンデー名作ミュージアムより引用)
現在は女性アイドルグループが表紙に飾っている
→少年の憧れ人物像から ピンナップガール=性的対象へ など
個人的には出版側の姿勢に問いたくなりますが
マンガ史の流れと世相がよく分かる表さんのお話
もっと詳しくお聞きしたくなりました
●川原和子さん
「人生の大切なことはおおむねマンガが教えてくれた」の著者
少女マンガと少年マンガの表現の違いをストーリーを追って解説
「はいからさんが通る」「櫻の園」など
懐かしいマンガのタイトルが多数紹介され楽しく伺う なかでも
わたしも過去に読んで震撼した山岸涼子「天人唐草」から
「引き裂かれる女性性」を読み解かれ
恐ろしくもかなり現実に近いフィクションであることを再認識しました
また昨今の少年マンガにおける
「極端に胸の大きい女の子」描写について
やはり不快だという女性の声をよく聞くそうです
氏は「一概に悪とは言えず『文脈』によるのでは」と。
「男性にとって美少女キャラクターとは
必ずしも性的イメージというだけではなく
純粋に可愛いものへの憧れ、
男性の乙女心の表れかもしれない」という言説に
いわゆる「萌え」絵的趣味はまったく相容れぬものの
はじめて理解の余地が見えた気がしました
以上 長くなってすみません 読んで下さり感謝です
まだまだ書ききれぬほど 多くの示唆をいただき
調査研究中の課題について補完出来た
かつての憧れの企業 白亜のビルで半日でした
乳房文化研究会、入会させてもらいたいなあ
【Information】
乳房文化研究会(にゅうぼうぶんかけんきゅうかい)
1991年に活動を始めた「からだ文化研究会」と同会の中で「乳房」にテーマを絞って
1993年に発足した「乳房科学研究会」とを発展的に統合し 1996年から活動
女性の「からだ」と「こころ」をとりまく社会や文化の問題など、
社会科学、人文科学領域まで広く学際的に科学することを目的に設立
事務局は株式会社ワコール内におかれています
オフィシャルサイト:
乳房文化研究会